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GIGAスクール構想を考える〜教育のICT化をどこまで進めるべきか〜

こんにちは、ミライエコールのりゅうじです。今回は昨今話題になっているICT教育について考えてみたいと思います。

現在、急速な時代の変化の中で教育の現場はめまぐるしく変化しています。例えば、文科省の発表した GIGA スクール構想などが挙げられます。これは生徒1人に対して1台パソコンやタブレット端末を配布することで生徒の学習の多様化、最適化を目的としています。

これにより、生徒のレベルにあった学習の実現や教員による生徒の学習の一括管理が可能となるなどのメリットが挙げられます。しかし一方でこの取り組みには多くのデメリットもあると考えています。今回はそのようなICT教育をあえて批判的な視点で考えてみようと思います。

〜きっかけ〜

私がこの問題を考えるきっかけは自分の中高の経験にあります。私の学校では GIGA スクール構想が発表された2019年以前から生徒1人に1台 iPad が配布されていました。確かに他校に比べプレゼンの授業が多かったですし、アプリを使った効果的な学習ができましたが、そのおかげで学力が向上したかといえば疑問に思うことが多く、クラスの中でもデジタル機器を自主的に進んで学習に活用している人はあまり多くなかったように感じます。このような経験から今回の記事ではGIGA スクール構想のデメリットを2点考えてみます。

① 教員側の負担が増える

まず、ICT 教育の環境を整備することによって学校の教員の負担が大きくなることが考えられます。例えば環境やセキュリティを整備するための費用や時間の負担が挙げられるでしょう。また教員が生徒のデジタル機器の使用を制限したり管理したりする必要があり、教員にとって業務が増えるということも挙げられます。ただでさえ教員不足が叫ばれている昨今にこのような負担が増えることは、教員の労働環境の悪化へとつながっていくのではないでしょうか。

またデジタル機器に不慣れな教員にとっては活用することが難しく、教員間の活用度の差も問題となっています。実際、デジタル庁の行った教育関係者を対象としたアンケートでは約6割がリテラシーの高い教職員への業務負担増、約5割がICT の効果的な活用方法がわからないことを問題点として回答しています。

このようにICT教育の導入は教員にとって多くの負担、不安が残るというのが現状であり、まずは教員の環境やリテラシーの向上を率先して行うべきではないかと考えます。

② そもそも生徒にデジタル教材が必要なのかという問題点

次に、そもそも生徒にとってパソコンやタブレットなどのデジタル教材が本当に必要かという疑問について考えていきます。特に、小学校低学年などデジタル機器に不慣れな児童たちにとってはデジタル教材を活用することは難しく、保護者や教員の管理が必要不可欠でしょう。これは①で述べたようなものにも当てはまります。

また、教員を対象に行われた大規模なアンケートでは、デジタル教材の導入によって生徒が実際に行動したり観察したりすることが少なくなることで、かえって生徒が受動的になるため、デジタルと紙の教材の併用を教員が望んでいるというデータがあります。

〈中央教育研究所研究報告(2013)より引用〉

さらに、和歌山大学や韓国で行われた実証実験では ICT 教育の導入は学力下位層には効果的だが一律的な効果が認められているわけではないことが明らかとなっています。

このように大きな学習効果が見込めない ICT 教育の導入に莫大な費用をかけることは非効率的な面もあるのではないかと考えます。

〜まとめ〜

このように、GIGA スクール構想には様々な問題点が残されていることが明らかとなったと思います。しかし、もちろん今回ご紹介したようなデメリットだけが全てではないですし、ICT教育によってもたらされる恩恵も多くあることも事実です。だからこそ、デジタルとアナログの両方の利点を生かした効率的な学習が行われることが理想的ではないかと私は考えています。

ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。この記事が皆さんにとって問題を考えるきっかけとなれば幸いです。

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