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生徒だと意見を言ってはダメですか? ミライエコール 山口セナの体験談(前編)

2.生徒会長に立候補

 そして、2年の夏、生徒会長に立候補しようとしました。

しかし、ここで生徒指導部の先生や他の生徒会役員から立候補を止められます。当時の生徒会役員がほぼ全員いる場に引継ぎの名目で呼ばれ、私は生徒会長への立候補をやめるように言われました。その場で、1つ上の先輩から、「山口が立候補するのはエゴだ」という言葉も投げられました。私の立候補に反対する理由としては、このように説明されました。

今の選挙は役職ごとに行われるのですが、会長選など、ある役職での選挙に負けた場合、役員にもなれないというルールがあり、もし私が会長選に勝つと、今まで通年で役員を務めた人が役員にすらなれなくなります。つまり、2年前期に役員をしていない私が生徒会長を務める事態を避けたいというのです。

公正なはずの選挙で、立候補を事前に止められるなど、とんでもないことではないかと思いました。当時の生徒会役員と生徒会顧問には「自分が立候補をやめる正当な理由はないので、立候補します」とはっきり伝えたものの、このままでは選挙で不正が行われる可能性もあると考え、校長先生に訴えました。幸い、校長先生は選挙は公正に行われるべきだという考えのもと、きちんと選挙を行うことを約束してくれたため、私はなんとか生徒会長に立候補することができました。

そして、選挙の際に改定しようと提案した服装規定は以下の3つです。

 また、1年の時と同じく、意見箱の設置も公約としました。どんな生徒でも意見を伝えることのできる仕組みは一番重要だと考えたからです。さらに、生徒会が全て行うべきなのか疑問であるような仕事の削減も公約としました。例えば、予算案の作成に大きな時間を割いたり、野球部の試合の応援を運営したりすることなどです。本当に生徒会本部が行うべき仕事なのかどうか、見直されずに今まで慣習によって続いてきたであろう仕事を見直すことによって、本来生徒会がするべきである、生徒の自治に関する仕事をメインにできるようにすべきと考えました。

 そして、選挙の結果、私は生徒会長に当選し、生徒会長を務めることになりました。

3.生徒会長としてまず行ったこと

 生徒会長になってからが勝負です。

 生徒の意見が反映される、オープンな学校にするためには、どうすればいいのでしょうか?

 まず、生徒会本部が行っていることを全校生徒と共有して透明性を高めることが大切だと考え、生徒会本部の話し合いの議事録を公開することを提案し、新たに生徒会の掲示板を設けて、そこに生徒会本部の議事録の公開を始めました。

 しかし、初めて掲示した議事録がいつの間にか掲示板から消えていたのです。私は誰かが持ち去ったか風で飛ばされたのかと思い探し回りましたが、なんと、それは先生に勝手に剥がされたことが分かりました。勝手に剥がすという行為は許されるのかと驚きましたが、こちらにも改善の余地があると考えて、今度は全員の目を通してサインをもらい、生徒会担当の先生の許可ももらって再度議事録の掲示を試みました。しかし、また勝手に剥がされたのです。私はこのことについて他の役員に意見を尋ねましたが、生徒会顧問の先生が生徒会室に来て議事録の公開に反対であると伝えたからか、大部分の他の役員も議事録公開には反対していて、議事録の公開は行わないことになってしまいました。その後、生徒会の顧問が属する生徒指導部の生徒指導部長に議事録の公開について話をしに行きました。すると、「議事録はおしゃべりの垂れ流し。」「話をある程度理解してくれないと、生徒会と学校とのパイプが無くなるよ?」などの高圧的な言葉を一方的にかけられて終わったのです。

 こうして議事録の公開にいつまでも時間をかけているわけにもいかないと考えたため、議事の要点だけを生徒会の掲示板で共有するということに妥協して、意見箱の設置に集中することにしました。設置のための話し合いをいくつか行い、12月のある日に設置することになりました。

しかし設置するというその日の朝、役員の1人がLINE上で「詳細が決まっていないのに設置を急ぐべきではないから今日設置するのはやめるべきだ」と発言し、他の役員もそれに賛同する形となり、設置が中止となりました。その発言の理由としては、意見箱を設置する日程を先生に報告していなかったこと、設置してからの使い方の詳細が決まっていなかったことを挙げていました。

しかし私は、日程まで教員に報告しないと生徒は何も動けないというのはおかしいと思うし、設置してからの中身の確認のペースなども話し合い済みであったため、当日に役員から反対を受けたことにとても驚きました。その後、職員会議での承認が必要と言われたため、結局年明けの2月に職員会議の承認を受け、約4か月かけて設置できたのです。

 生徒会長になる前まで、議事録の公開と意見箱の設置というだけのことに教員たちと他の役員からこれほどまでの反対を受け、時間と労力がかかるとは正直考えていませんでした。この状況では、残る公約である「服装規定の改定」を進めるのはかなり難しいと思いました。しかし、まずは全校生徒の意見を聞くのが最重要だと考え、生徒会本部でその提案から始めることにしました。果たして、うまくいくのでしょうか?

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